神奈川県平塚市は、令和5年9月11日付で、国土交通省の「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転実証調査事業)」※の補助事業者に採択されました。これを受け、平塚駅南口エリアにおいて、既存バス路線での自動運転実証実験を行いました。
本実証実験は、持続可能な公共交通の実現のため、既存路線バスへの自動運転車両の導入により、ドライバー不足解消の一助となり、市民生活に欠かせないバス路線を確保・維持していくことを目指す取り組みです。
本年度は、国内大手自動車メーカーであるいすゞ自動車株式会社が提供する大型バスを活用し、運転手が乗車する自動運転レベル2の実証実験を行うことで、将来的な特定条件下における完全自動運転となる自動運転レベル4に向けた実施となりました。
※「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転実証調査事業)」
自動運転技術を活用した持続可能な移動サービスを構築することを目的として、地方公共団体等が行うバスサービス等の自動運転化に係る事業の経費を国土交通省が補助するものです。当該領域の有識者で構成する審査委員会により、経営面、技術面、社会的受容性、施策間連携の実施等の観点から審査が行われ、先進的な取組みとして採択されました。
本実験の概要
運行期間
2024年1月22日(月)~2月2日(金)※平日のみ
運行区間
平15系統(平塚駅南口~すみれ平~湘南海岸公園~平塚駅南口)
走行距離
約4.3km
自動運転レベル
レベル2
使用車両
いすゞ自動車株式会社製大型バス「エルガ」(自動運転仕様)
運行本数
1日6便程度 (午前11時~午後4時30分)
運行ルート図
体制図
平塚市
神奈川中央交通株式会社
三菱商事株式会社
アイサンテクノロジー株式会社
A-Drive株式会社
いすゞ自動車株式会社
実証実験に先がけて行われた協定締結式で落合克宏平塚市長は、「少子高齢化、交通機関の運行の担い手不足などによる諸課題は、本市も避けて通れない問題。市内で自動運転バスの運行が始まり、市民の移動手段の確保につながっていくことを期待したい」と挨拶されました。
乗車した落合市長は「ブレーキもスムーズで、運転手が操作している時とほとんど変わらない。技術の進歩はすごい」と述べられました。
自動運転バス車内の様子です。今回は運転手が乗車する自動運転レベル2の実証実験となっており、安全第一での運行を行いました。平塚市内を初めて自動運転バスが走行するということもあり、実証期間中は市民の方から多くの注目を集めました。
神奈川中央交通本社内に設けられた遠隔監視室の様子です。バス車内外の状況がリアルタイムで分かります。将来的には運転手が運転席にいないレベル4での運行を見据え、遠隔監視室より自動運転バスの運行管理を行うことを想定しています。
試乗会の様子です。1日6便の運行、試乗者数の定員は着座のみで20名でしたが、満員になる便も数多くあり大変盛況な試乗会となりました。既存のバス路線を大型自動運転バスへ置き換えるという全国でも他にない取り組みとなり、全国の交通事業者、自治体様に試乗会に来て頂けました。
平塚市は相模湾に面した海辺の都市です。実証期間中、天候には大変恵まれ、今回の走行ルートには車両右側に座ると、袖ヶ浜から相模湾を一望できる大変景観の良い場所もありました。