少子高齢化や地域の過疎化が進む中、持続可能な地域交通の在り方が問われています。こうした社会課題の解決に向けて、奈良県明日香村において、2025年1月24日(金)から28日(火)までの5日間、自動運転バスを活用した実証実験が実施されました。
本取り組みは、国土交通省「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業)」のもと、地域の公共交通機関の維持・改善を目的としたものであり、観光資源と先端技術の融合による新たな移動インフラの可能性を示すもので、前年度に続く2回目の試みです。
【実証実験 概要】
実施期間 2025年1月24日(金)午後 ~ 1月28日(火)
実施場所 奈良県明日香村
(運行ルート:近鉄飛鳥駅 - 高松塚古墳 - キトラ古墳 - 近鉄飛鳥駅)
※3か所すべてで自由な乗降が可能
運行時間・本数 午前9時~午後4時 1時間に1便運行(※正午の便は運休)
運賃 無料(※事前予約制/予約優先)
定員 1便あたり13名
乗車方法 事前予約制
運行形態 「レベル2」自動運転
(指導運転者が同乗、必要に応じ手動運転に切替)
・最大時速:35km
・約20分間の運行コース
目的
・公共交通機関のドライバー不足解消
・村内の新たな移動手段の創出
・観光地へのアクセス向上
・将来的な完全自動運転社会への布石
技術ポイント(担当:国土交通省 近畿地方整備局)
・「路車協調システム」を導入
道路側のAIカメラが交通状況を検知し、車両と連携
奈良県ウェブサイトより抜粋(外部リンク)
https://www.pref.nara.jp/secure/316557/asukamura.pdf
【体制図】
奈良県・明日香村 | 実証実験実施主体 |
明日香村 | 実証実験責任者 |
株式会社長大 | 現場責任者 |
奈良交通株式会社 | 運行責任者 |
アイサンテクノロジー株式会社 | 技術責任者 |
明日香村デジタル交通サービス導入推進協議会 | 実験支援 |
国土交通省 近畿地方整備局 | 路車協調支援 |
【関連資料】
明日香村自動運転バス実験走行案内チラシ(pdf 3633KB)
https://www.pref.nara.jp/secure/316557/asukamura.pdf
前回と同様近鉄飛鳥駅を起点に、高松塚古墳、キトラ古墳という歴史ロマンあふれるスポットを巡るルートで運行され、3か所すべてのバス停で自由に乗降が可能です。
今回のバスには、22台のセンサーと8台のカメラが搭載されており、「レベル2」の自動運転で走行。安全を最優先に、指導運転士が同乗し、必要に応じて手動運転に切り替えながらの運行となりました。
この日は森川 裕一 明日香村 村長をはじめとする自治体関係者、報道陣の方々も試乗され、約20分間、最大時速35kmでの安定した走行に、驚きの声があがっていました。
地方における深刻なドライバー不足は、今後ますます重要な社会課題となってまいります。本実証実験は、そうした地域の移動課題への対応策としても大きな意味を持っています。
世界遺産登録を見据えた観光インフラとしての期待も高まる中、私たちの技術とノウハウが地域社会に貢献できることを、改めて実感する機会となりました。
今回の実験は、あくまで「スタート地点」。未来の完全自動運転社会に向けて、安全性の向上、システムの精度向上、そして利用者の快適性の確保といった観点から、さらなる技術革新が求められます。
今後も、引き続き地域と連携しながら、よりよいモビリティ社会の実現に向けて歩んでまいります。
【関連メディア情報】
2025年1月25日 奈良テレビNEWS
完全自動運転目指し バスが実験走行
https://youtu.be/6TQ8DK7u-eA?si=2wf58aeziGB4arxF
2025年1月25日 朝日新聞デジタル
自動運転バスで壁画を見よう 奈良・明日香村で実験走行がスタート
https://www.asahi.com/articles/AST1S4QFDT1SPOMB001M.html