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活動報告

活動報告

「Level IV Discovery シンポジウム in Aichi」が開催されました

2020年2月13日(木)13:30~名古屋市中区栄にあるヒルトン名古屋において 「Level IV Discovery シンポジウム in Aichi」が開催されました。
本シンポジウムでは、自動運転技術を利用した新たな移動サービスの導入を検討される自治体の皆様を対象として、愛知県の取り組みや施策に関する講演を行うとともに、自動運転の社会実装のためのソリューションであるLevel IV Discovery(レベル フォー ディスカバリー)のご紹介、また今後どのように実用化を行っていくのか等が発表されました。

開 催 概 要
日   時:  2020年2月13日(木)13:30-17:00(受付 13:00~)
会   場:  ヒルトン名古屋 5階 金扇の間 (愛知県名古屋市中区栄1-3-3 )
主   催:     損害保険ジャパン日本興亜株式会社、株式会社ティアフォー、 アイサンテクノロジー株式会社
協   催:     あいち自動運転推進コンソーシアム
専用サイト:  Level IV Discovery ウェブサイト:http://level4-discovery.org/

以下当日の様子をお知らせします。
会場は名古屋市中区栄にあるヒルトン名古屋で行われました。
エントランスに自動運転車両を展示し、会場外のロビーに各種パネルを展示いたしました。

以下当日の様子をお知らせします。(※敬称略)

 

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 リテール商品業務部 部長 堀江 裕志

「自治体の方に聞くと実証実験を導入したいが、どのようにしたら良いのかわからない」という声をよく聞く。そういった方々の力となれば良いと考えており、そのためにも今後もLevel IV Discoveryシンポジウムを各所で実施していく予定としている。安心・安全・安価のソリューションを広く皆さまにお届けしていきたいとの決意を述べられました。

 

 

あいち自動運転推進コンソーシアム会長 愛知県知事 大村 秀章

あいち自動運転推進コンソーシアムは、産学行政連携組織で新事業・新ビジネスを築き上げ、自動運転の社会実装を目指していくものである。自動車王国の愛知が次の100年も永続的に続くよう、競争をしていく必要があると考えており、現在は社会実装を目指して推進しており、あわせて最新技術や動向も発信している。自動運転は、高齢者・交通弱者を支援すると共に地域づくりにもインパクトを与えるものと考えていると述べられました。

 

 

あいち自動運転推進コンソーシアムの活動について
愛知県経済産業局産業部産業振興課 主幹 林英毅

愛知県では自動運転の社会実装を推進するため、県が主体となって、自動運転の実証実験を先導的に実施してきた。現在は、ビジネスモデルをどのようにするのかを検討し、社会実装を目指した実証実験を実施している。

あいち自動運転推進コンソーシアムは、県内外の企業・大学等と市町村とのマッチングを実施すると共に、実証実験実施に必要な手続のワンストップサービスや新事業・新ビジネスモデル創出に向けた調査研究を行っており、現在は107の機関が所属。来年度については、「ショーケースモデル」「集客施設内モデル」「住宅団地・郊外モデル」の3類型をイメージして引き続き実証実験を展開していくと述べられました。

 

 

自動運転の現状~グローバルトレンドとキードライバー~
PwC コンサルティング合同会社 シニア・マネージャー 藤田 裕二

今後の私有車保有の割合は減少していく見通しであり、モビリティサービスへの消費者需要は高まりつつある。
2030年までに新モビリティモデル(有人運転のシェアドカー・自動運転の自家用車・自動運転のシェアドカー)は増加すると見込まれており、成長分野である。
新モビリティモデルは、従来の購入やリースではなく、さまざまなモデルが世の中に展開されていくだろう。

近未来のクルマはもはや単独の「モノ」として存在するのではなく、「移動サービス」として「街」を構成する一つの要素となっていくと考えられる。そうなれば、街のあり方も変わっていくだろう。自動運転の開発スピードは速いが、ただ自動運転を開発するだけでは価値が出ない。自動運転+αがあってこそ価値が出るものであり、競争力をつけるにあたって非常に大切なことである。業界横断的なサービスやソフトウエア技術導入が鍵となり、そういった価値を生み出す部分に経営資源を集中させる必要があると述べられました。

 

 

自動運転の動向とAutowareの仕組み
株式会社ティアフォー取締役/COO 田中大輔

GAFAは、経済や社会の姿を大きく変えてしまうような様々な新しい価値を創造し、提供している。その一方で、まだ解決されていない社会課題も存在している。オープンソースの自動運転OSを社会全体の財産とすることで、GAFAのその先にある社会課題を解決に導いていこうと考えている。「Autoware」は完全オープンソースの自動運転用OSであり、10カ国以上200社以上への導入実績がある。

自動運転を実現する要素は車両システムだけではない。安全への取り組みや社会的な枠組みの整備といったものが不可欠であり、緻密に活動をしていく必要がある。

現在は、単に走らせるための技術開発だけでなく、走行のクオリティをあげるための開発も行っている。乗車している人だけでなく車外の人の安全も確保することや、より快適に走ることにも取り組んでいる。自動運転車が市街地を走るのはもう少し先で、当面は場所・条件などのシチュエーションが限定された場所での走行となるであろう。

自動運転は技術的にはある程度のレベルまできているが、社会実装にはもうひと押しが必要となるため協力をしていきたい。また、自動運転による移動のコストに現在の2倍、3倍のコストを払いたいとは誰も思わないはずなので、自動運転で生まれる時間・空間に付加価値を付けることも検討している。そういった付加価値により、自動運転の社会実装に向けたハードルが下がっていくのではないかと考えていると述べられました。

 

 

5G時代の自動運転について
株式会社KDDI総合研究所 執行役員 大谷朋広

KDDIは「通信とライフデザインの融合」を提唱し、新たな「価値体験」の提供を行うことビジョンとしている。
車両とあらゆるものをつなぐV2X(Vehicle to Everything)通信は、車両同士だけでなく、車両とインフラ、さらには車両とその他の道路利用者を直接接続できるよう設計されている。V2Xにセルラー通信を組み合わせたC-V2X技術で、自動運転時代にどのように貢献できるのか。
自動運転の実現にあたって、例えば、遠隔監視・操作時に通信は必要不可欠なものである。遠隔制御の通信要件としては、安定した通信が大切で、映像伝送の品質保証が鍵となる。ソフトウエア処理の低遅延化が不可欠であり、車から基地局にいく「上り」帯域がポイントとなる。遠隔自動運転は正確な運転が求められるため、実車両と同等の操作感が重要となる。

自動運転のサービスとしてライドシェアシステム時における通信の活用事例や、車両内のエンタメとして自動運転車やダイナミックマップと連動したVRコンテンツが視聴できるような通信活用事例、ダイナミックマップを用い、最新の地図道路情報を検知し走行経路を変更するといった事例をご紹介いただきました。

 

 

インシュアテックソリューションLevel IV Discoveryについて
損害保険ジャパン日本興亜株式会社リテール商品業務部
自動運転タスクフォースリーダー新海 正史

正味収入保険料の内訳として半数以上を自動車保険が占め、事故トラブル対応の体制も全国に整えている。損保の中心商品である。将来的には、事故件数が大幅に減少していくとの予測もある。事故が減るのは大変喜ばしいことではあるが、この事故件数の減少は保険料に反映する。つまり、今後はビジネスモデルの変革が必要となる。

自動運転関連については、「研究から実装へ」「単独から各社連携へ」と取り組みが進んでいる。パートナー各社と連携し、これまで60を超える実証実験をサポートし「事故ゼロ」を実現している。安全面をサポートするにあたっては、実証実験の安全性と共に、実証メンバーの安全意識を高めるという役割も担っていきたい。

交通事故死者数は年々減少傾向にあるが、事故は無くならない。これまで、被害者が迅速に救済されるクルマ社会の実現に向け尽力をしてきた。現在の保険は、事故後に支える「備え」的なものと言える。今後は、走行前の「安全対策」や走行中の「見守り」により、「事故を防ぐ保険」といった「安心・安全」を提供するものへとシフトが必要になってくる。

新しい役割としては、株式会社ティアフォー、アイサンテクノロジー株式会社と共に3社業務提携を締結し、安心・安全な自動運転サービス実証を支えるインシュアテックソリューション「Level IV Discovery」の開発を進めている。これは、実証実験に必要な「保険・サービス」をパッケージ提供するものである。

ソリューションの要素としては、まず事故を防ぐために不可欠な「リスクアセスメント」を行う。2つ目に、走行中の不安を取除くものとして、「コネクテッドサポートセンター」を用意している。自動運転車からのデータをもとに乗客や交通事業者と連携し、現場駆けつけ、レッカー移動、消防・警察といった現地オペレーションの技術を進化させたい。3つ目に、万が一の備えとしての「保険」は、現在検討されている法や社会制度に対応した自動運転専用保険が必要となるため対応を進めていく。

自動運転社会の実装に向けて、本来は「実証⇔検証」を繰り返すことが重要となるが、「実証」がゴールとなってしまっていないか。サービス実証フェーズを迎え、大掛かりな実証となり、時間と費用も膨らむ傾向にある。自動運転を社会実装するにあたり、様々な地域で自動運転導入の機運を高めることが重要。地域の交通課題への解決策が自動運転というだけでなく、自動運転の実証をやってみたからこそ「自動運転だけではないソリューションを検討する」というような議論へも繋げる事ができればと考えている。

愛知県は自動運転のワンストップセンターがあり、自動運転の実証には大変恵まれた環境である。しかし、地域によっては、自動運転実証に関する相談窓口が不明確で情報の地域格差が生まれており、その対応として「Level IV Discovery事務局」を開設した。自動運転の実証サポートや相談窓口、情報発信を進めていきたい。

また、自動運転の実施には「法整備・社会制度整備」が不可欠となる。自動運転実証を目指す各社各機関の連携力で政策提言等を行い、現場に適した「法整備・社会制度整備」が整うように働きかけをおこなっていくことが今後必要ではないか。

事故に備えた「SOMPO」から事故を防ぐ「SOMPO」へと進化し、保険と技術を掛け合わせて走行前・走行中・事故のサポートを推進することで、経営理念となる「安心・安全・健康のテーマパーク」をモビリティ領域で実現したいと述べられました。

 

 

自動運転事業における新たな資金調達手法について~成果連動型民間委託の活用~
株式会社三井住友銀行 成長産業クラスター 第二グループ グループ長 上遠野 宏

現状、自治体から民間事業者への委託業務では、予め定められた事業を実施さえすれば自治体は一定の固定報酬を払うというのが一般的である。一方、「成果連動型民間委託」においては、自治体はその民間委託事業から得られた社会的インパクト(例:自治体コスト削減額)に連動した報酬を払うことになる。

例えば、神戸市において糖尿病性腎症重症化予防事業において実施された「成果連動型民間委託」の例では、民間による保健指導プログラムの結果、何人が人工透析をせずに済んだかを3年間計測する。そして、事業の成果(神戸市が支払う社会医療費の削減額)に応じた報酬が支払われる。なお、弊行は、神戸市から報酬が支払われる迄の間の資金を民間事業者に提供している。

「成果連動型民間委託」において、自治体のメリットとしては支払額が実際に得られた社会的インパクト=成果の範囲内(成果が出なかった際には報酬が減額)に収まるという点が挙げられ、デメリットとしては事業が成果を測定する迄の複数年度に渡ることが多いため、予算確保の面で障害が多い点が挙げられる。一方、民間事業者のメリットとしては成果を想定より創出できれば収入が増える点が挙げられ、逆にデメリットとしては成果が出せなければ赤字事業のリスクを負う点が挙げられる。

自動運転事業も社会的インパクト(事故死者数軽減、渋滞緩和、交通弱者支援、企業発展・誘致等)を創出するソリューションであると考えている。要するに「成果連動民間委託」として官民連携することで社会的課題を解決し、その解決の度合いによって削減できた行政コストを民間にインセンティブ報酬として還元しても良いのではないかということである。ここで、弊行は、自動運転事業者の皆様の資金調達でお役に立てる可能性がある。

自動運転事業に「成果連動民間委託」を導入することで、地元企業や市民には渋滞緩和や交通弱者支援というメリットを享受し、自治体は行政コスト削減と共に場合によっては税収増という「官民Win-Win」の関係が築ける可能性があるものと考えると述べられました。

 

 

愛知県における自動運転実証サービスの取り組みについて
アイサンテクノロジー株式会社 取締役 佐藤直人

アイサンテクノロジーは公開可能ベースで2020年1月現在において21県52自治体で、累計100か所以上の一般道のフィールドで実証実験を無事故で積み重ねてきました。当初は準備に数か月要していたが、体制もステップアップし、数日から1週間程度で準備が整うようになってきている。

自動運転の実用化に向け、愛知県飛島村、兵庫県西播磨及び長野県塩尻市といった各自治体と自動運転に関する協定を締結しており、地域交通の課題解決に取り組んでいる。地域の課題は様々であり、多様なサービスモデルに合わせ、さまざまなタイプの自動運転車両の投入が可能である。

2025年に完全自動運転を見据えたロードマップにおいて、アイサンテクノロジーは自家用車の自動運転開発及び実証を目指しているのではなく、「移動サービス」としての開発及び実証を積んできている。実用化に向けて、技術を開発していれば自動運転の「社会実装」はできるものではなく、法の整備や社会制度の整備が必要となる。その中で安価に自動運転の実証ができる「自動運転サービスパッケージ」にて、自動運転の検討開始のきっかけとして頂ければ。

現在の市場化・サービスへの期待と現在の立ち位置としては、インフラと安全要求の中間点という所まで技術が発展してきているイメージを持っている。自動運転はあくまで、手段であって目的ではない。街づくりや課題解決に繋げて頂ければと考えていると述べました。


【関連情報】
Level Ⅳ Discovery 「2020.03.10【レポート】Level Ⅳ Discovery シンポジウム in Aichi を開催しました。」
https://bucketeer-5e0e036d-78c2-453d-9a3b-a4ce2c5ebb26.s3.amazonaws.com/public/news/20200310/20200310.pdf

 

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