岐阜県中津川市において、自動運転技術を搭載したバス「付知bin」を、市北部の付知地域の公道で走らせる実証実験を実施しました。これは、国土交通省地域公共交通確保維持改善事業補助金(自動運転実証調査事業)により、社会受容性向上を目的として実施されるもので、市内では初めての自動運転バスの運行となりました。
中津川市は、人口減少・高齢化「傾向にある中で、「多拠点ネッワークによる集約型都市構造」を将来像としています。
また、リニア中央新幹線岐阜県駅の開業に加え、中央自動車道の神坂スマートインターチェンジ、高規格道路の濃飛横断自動車道が建設中であり、将来像の実現には各拠点にこれら高速交通網の整備効果を波及させる必要があります。広域公共交通を1次交通とすると各拠点への2次交通、拠点内の3次交通の充実や連続性が求められています。
本実証実験では、自動運転サービス及び各拠点の整備により、生活面において地域住民にとっては免許返納後も不自由なく生活ができる運行サービスの実現、観光面では道の駅にとどまっている観光客を旧街道沿いに呼び込み、地域・活性化を図っていくことを目的として実施しました。
また、コミニティバスの利用の改善、公共交通機関と連携することによる公共交通の利用機会の増加についても確認をしました。
【実験概要】
日 程:2023年10月18(水)~10月29日(日) ※運休日は月曜日・火曜日として実施
走行時間:10時00分~16時20分
乗車定員:7人(運行担当者2人を除く)
運 賃:無料
運行ルートは、国道257号沿いの「道の駅 花街道つけち」と「スーパーさのや」の往復約3.1kmを40分かけ、1日8往復しました。
車両は、当社が管理する乗車定員7人の電気自動車(EV)バス。ハンドルやブレーキなど基本操作を自動化しつつ、バス上部にはセンサー8台とカメラ15台を設置し、常時監視しながら、いざという時には手動運転に切り替え、責任も運転者が担う「レベル2」で実施しました。
「道の駅 花街道つけち」から「付知地域デザインミュージアム」の区間においては貨客混載の検証を実施しました。
道の駅に納品された新鮮なネギやさといも、枝豆といった野菜を積載し、付知地域デザインミュージアムまで運びました。
付知地域デザインミュージアム内には遠隔監視システムを設置し、自動運転バスの走行状況等を監視をすると共に運んだ野菜たちを降ろし、現地で販売いたしました。
17日の試乗会には、地元関係者ら約30人が試乗しました。
付知町まちづくり協議会の早川正人会長(67)は、「自動から手動への切り替えもスムーズ。人口減や運転免許証の返納などの問題に対処するため、自動運転バスには期待している」と述べられました。
実証全体で87便を運行し、579名の方に試乗頂きました。
普通のクルマと同じ感じだった、時速19kmだけど案外早いねというお声や、早く導入されて欲しい、もっと距離を伸ばして欲しい、夜間の走行(飲み屋巡り便)が欲しい、雪の対応もしてほしいなど沢山のお声を頂戴しました。
また、実際に現地でスーパーに行く足として利用する方や、何度も試乗に来てくださる方もいらっしゃいました。
今回の結果は実施報告書として纏めていきますが、上記の通り具体的な感想やご要望を得られました。
本実験は、リニア中央新幹線開通を見込んで市が東大の交通・都市・国土学研究室などと進める地域圏づくり共同研究の一環で、国土交通省の事業に採択され、実施をしました。
今回は、必要に応じて運転手が手動運転する「レベル2」だが、将来は運転手なしで運行できる「レベル4」を目指します。
また、市内だけでなく、広域に波及させ、自動運転技術を活用した輸送サービスや地域拠点の整備により新たな人の流れを創出するとともに、地域の情報発信や魅力づくりなどにより地域が活性化することを目指していきます。
【関連情報】
国土交通省地域公共交通確保維持改善事業補助金(自動運転実証調査事業)及び路車協調システム実証実験の採択
https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/shisei/policy/jisedai/24351.html